
南アフリカが誇る蒼き寝台列車
風を従え、大地を駆ける迎賓館
〝動く五つ星ホテル〞とも称される、南アフリカを代表するラグジュアリー列車。クラシックな趣を湛えるインテリアと最新の設備が見事に調和し、地元産の上質なワインや洗練された料理が、旅に豊かな彩りを添える。ケープタウンからプレトリアへと続く道のりは、まさに格別な時間となるに違いない。
The Blue Train A window
to the Soul of Africa

南アフリカの雄大な大地を走る「ブルートレイン」は、世界屈指のラグジュアリー・トレインとして名高い。贅を尽くしたインテリア、行き届いたサービス、そして車窓に広がる壮麗な自然美。まさに“走る五つ星ホテル”と称されるにふさわしいその旅路は、鉄道愛好家はもとより、世界中の旅人たちの憧れの的である。その歴史は1923年に始まる。この年、南アフリカでは「ユニオン・リミテッド号」と「ユニオン・エクスプレス号」の二本の列車が運行を開始。当時、英国と南アフリカを結ぶ海路を利用する乗客たちを、次なる目的地へと送り届ける重要な交通手段として活躍していた。やがて1930年代に入ると、両列車は時代の要請に応えるように車両の豪華なものへと改装され、1937年には「ブルートレイン」という名称が正式に採用された。しかし、第二次世界大戦の影響により一時は運行が中断。それでも戦後の1946年、列車は見事に復活を果たし、以前にも増して洗練された設備とサービスを備えた“新たなブルートレイン”として再び旅人たちを迎え入れた。1997年には鉄道の民営化が進められたことで、列車はさらなる進化を遂げ、現代的かつ洗練された姿へと生まれ変わったのである。旅人はこの列車に乗り込み、南アフリカの壮大な自然と豊かな文化に触れながら、極上の料理、格式あるサービス、そして快適な滞在を味わう。贅沢の限りを尽くしたその体験は、単なる移動手段を超え、人生に深く刻まれる感動の旅となるに違いない。
Journey Through Africa’s
Wilderness in Blue Luxury
車窓から広がるアフリカの鼓動
今回の「ブルートレイン」の旅は、ケープタウンを出発し、首都プレトリアへと向かう2泊3日、全長約,1600kmの壮大な旅路。列車旅の快適さを大きく左右するのが客室であるが、ブルートレインには「デラックススイート」と「ラグジュアリースイート」という2種類の客室が用意されている。

「ラグジュアリースイート」にはダブルベッドとツインタイプの2種類がある。電車内とは思えぬ豪華さと快適さで列車である事すら忘れてしまう。朝起きるたび、窓の景観は変わってゆく。快適な朝を迎え、広々としたバスルームでシャワーを浴びたらバトラーにコーヒーをリクエストし、昨夜オーダーした朝食が運ばれてくる。午後のひとときを過ごすのはラウンジもいいが、軽食と共に部屋で車窓を眺めながら過ごすのもいい。壮大な南アフリカの風景を独り占めできるのだから、
これほど贅沢な列車の旅もない。
「ラグジュアリースイート」は、約1026㎡という列車内とは思えないほどゆとりのある空間を誇る。室内にはマホガニー材のパネルや真鍮の装飾が随所にあしらわれ、重厚かつ落ち着きのある空間を演出している。ベッドは日中にはソファとして使用でき、リビングルームとして車窓を楽しむのにも最適。夜には快適なツインベッドとしてセッティングされ、列車とは思えぬ上質な眠りが約束される。バスルームも実に贅沢で、床から壁まで大理石が施され、ゆったりとしたバスタブや高級ブランドのアメニティが揃う。
「ラグジュアリースイート」には専属のバトラーが24時間体制で常駐し、食事やドリンクのサービスはもちろん、ルームクリーニング、ターンダウンサービス、ハネムーンセッティング手配に至るまで、きめ細やかに対応。まさに一流ホテルのホスピタリティがそのまま車内に再現されている。南アフリカの旅に欠かせない高性能な空調システム完備。快適性は申し分ない。



Restaurant
「ダイニングカー」と呼ばれるレストラン車両では豪華な料理や南アフリカ産のワインを楽しむことができる。ディナータイムになると昼の雰囲気とは一 転する。男性はスーツまたはジャケット着用、女性はイブニングドレスかワンピース着用というドレスコードが設けられている。ロブスターやカラハリトリュフなど南アフリカ産の最高級の食材を使用。動くレストランでの食事も「ブルートレイン」の楽しみの1つだ。
食事はレストラン車両で楽しむこともできるが、「ラグジュアリースイート」では客室でのプライベートダイニングも可能。地元の食材を使った南アフリカ料理をはじめ、アフタヌーンティーや軽食もオーダーでき、料理や飲み物のほとんどは(一部の高級ワインやシャンパンを除き)オールインクルーシブとなっている。2泊3日の滞在中、このスイートで味わう時間は、旅という枠を超え、まさに“移動する贅”そのもの。グラスに注がれたシャンパンを片手に、車窓を流れるサバンナの風景を眺めれば、野生動物たちが大地を駆ける姿と出会えるかもしれない。大平原に広がるサバンナで野生動物と出会うのもこの地ならではの醍醐味だが、走る寝台列車で悠々と南アフリカを横断する、そんな洗練された旅も、真の旅を知るエグゼクティブたちの選択肢と言えるだろう。

クラシックな雰囲気の「バー」は昼間はカジュアルだが夜になる とキャンドルに灯が灯り、エレガントな雰囲気になる。南アフリカ産のワインやイギリスのウイスキーなども数多く揃えてあるがバーテンダーが作ってくれ る「ブルートレイン・マティーニ」 や「サバンナ・サンセット」などの
特製カクテルを味わいたい。

Explore Africa’s Wild Charm
Aboard the Blue Train

HOSPITALITY
専属バトラーが付き、ハネムー ンや記念日など特別な旅にふ さわしいサービスを提供。1組に 1人の専任バトラーが付き、24 時間体制で、乗車から下車ま でのすべてをサポートする。ウェ ルカムシャンパンの提供にはじ まり、スイート内でのプライベー トディナーセッティング、ター ンダウンサービス、荷造りや下 車時の荷物管理まで、すべて オーダーメイド。ケーキや花束、 記念日仕様の特別演出も事 前リクエストで対応可能である。


EXPERIENCE

贅を尽くす車内でのひとときに加え、途中立ち寄る南アフリカの大地が、旅をさらに特別なものにしてくれる。たとえば、キンバリーにある世界最大級の人工採掘跡「ビッグホール」では、ダイヤモンドラッシュに沸いた当時の歴史と息をのむスケールを体感。クラシックな列車の旅と、アフリカの大自然や遺産との出会いが織りなすこの体験は、ただの移動ではなく、記憶に残る"時間の旅"となる。

時を忘れる旅には、理由がある




「ブルートレイン」を象徴する代表的なルートは、ケープタウンと首都プレトリアを結ぶ約1,600kmの旅である。所要時間はおよそ31時間。車は広大なサバンナ、カラハリ砂漠の荒涼とした風景、そしてドラケンスバーグ山脈の雄大な景観を車窓に映しながら、南アフリカの大地を静かに駆け抜けていく。翌朝、列車はキンバリー駅に停車する。この街はダイヤモンド採掘で名を馳せ、かつて世界最 大のダイヤモンド鉱山と称されれた「ビッグホール」の見学ツアーが用意されている。「ビッグホール」は深さ 215 m、直径約 500 mという驚異的な規模を誇る人工の巨大な穴であり、南アフリカの繁栄を支えたダイヤモンドラッシュの象徴とされる。隣接するキンバリーマイン博物館では、当時の採掘の歴史や人々の暮らしぶりを知ることができるだろう。旅の終着地・プレトリアへと向かう後半のルートでは、金色に輝く大草原「ゴールデンフィールド」の中心部を縫うように列車が進む。サバンナやのどかな農村風景が車窓に広がり、もしかするとキリンやシマウマなど、この地に暮らす野生動物の姿を目にすることもあるかもしれない。それはブルートレインだからこそ、叶う特別な旅だ。
